かみ合わせが悪い

「噛むと特定の歯が痛い」「治療した後からかみ合わせが高い気がする」「食べ物がいつも同じ場所に挟まる」——かみ合わせの違和感は、放っておくと歯や顎への負担が積み重なっていく、見逃したくないサインです。

このページでは、かみ合わせに関する6つのよくある悩みについて、原因と対処法を歯科医師が解説します。

この記事の要点

  • かみ合わせは上下の歯が均等に当たるのが理想。一部だけ強く当たると負担が集中します。
  • 「噛むと痛い」「噛むと揺れる」の裏には根尖性歯周炎や歯周病が隠れていることも。
  • 治療後にかみ合わせが高いときは、我慢せず調整を(短時間で済みます)。
  • 違和感を放置すると、歯のヒビ・すり減り・顎関節症につながることがあります。
ひとことで言うと
かみ合わせの違和感は「痛くないから」と後回しにされがち。でも特定の歯への負担の集中は、あとから大きな問題になることがあります。気になるサインは早めにチェックを。
かみ合わせのよくある6つのサイン(噛むと痛い・揺れる・高い・挟まる・前歯でかめない・奥歯でかめない)を示した図解
▲ かみ合わせで要チェックの6つのサイン

1. 噛むと痛い

噛んだときにズキッと痛む場合、代表的な原因は根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)です。神経が死んでしまった歯や、以前に神経の治療をした歯の根の先に細菌感染による炎症が起き、内圧が高まることで「噛むと痛い」症状が出ます。治療は感染した根の中を清掃する根管治療が基本です。

そのほか、歯にヒビが入っている(歯根破折)、歯周病の急性化、かみ合わせの一部が強く当たっている、といった原因もあります。いずれも自然には治りにくいため、早めの受診をおすすめします。

2. 噛むと歯が揺れる

もっとも注意すべき原因は歯周病です。歯を支える骨(歯槽骨)が溶けて支えが弱くなると、噛んだときに歯が動くようになります。この場合、歯石除去を中心とした歯周病治療で改善が見込めます。

また、1〜2本の歯だけが強く当たるかみ合わせになっていると、その歯に過大な力が集中して揺れが出ることがあります。この場合はかみ合わせの調整が有効です。

3. かみ合わせが高い(治療後に違和感がある)

詰め物・被せ物を入れた直後にかみ合わせが高く感じる場合、調整が十分でない可能性があります。特に麻酔をした直後は感覚が鈍っており、その場では気づきにくいものです。

「高いまま我慢して使えば慣れる」と思われがちですが、高い状態を放置すると、その歯の痛みや揺れ、顎の疲れ・顎関節への負担につながることがあります。数日使ってみて違和感が続くようなら、遠慮せず治療を受けた歯科医院で調整してもらいましょう。調整自体は短時間で済むことがほとんどです。

4. 歯に物が挟まる

食べ物が歯と歯の間に押し込まれる現象を食片圧入(しょくへんあつにゅう)といいます。虫歯で穴があいている、詰め物の適合が悪い、歯ぐきが下がって隙間ができた、歯並びなど、原因はさまざまです。同じ場所に繰り返し挟まるときは、その部分に原因が隠れているサイン。放置すると虫歯や歯周病が進みやすいため、一度調べてもらいましょう。

5. 前歯でかめない

奥歯を噛みしめても前歯が閉じず、麺やサンドイッチなどが前歯で噛み切れない状態を開咬(かいこう)といいます。指しゃぶりや舌の癖、骨格などが背景にあることが多く、矯正治療が対処の中心になります。前歯でかめないぶん奥歯に負担が集中しやすいため、早めの相談がおすすめです。

6. 奥歯でかめない・奥歯が当たらない

奥歯がしっかり当たらない背景には、歯を失ったまま放置している、歯が傾いている、被せ物の高さ不足など原因はさまざまです。奥歯でしっかりかめない状態は、残っている歯への負担増加や、食事のしづらさにつながります。原因によって矯正・補綴(被せ物)など対処が変わるため、まずは診断を受けましょう。

かみ合わせの違和感を放置しないで
かみ合わせの問題は「痛くないから」と後回しにされがちですが、特定の歯への負担の集中は、歯のヒビ・すり減り・歯周病の悪化・顎関節症など、あとから大きな問題として現れることがあります。違和感が続くときは、早めにかかりつけの歯科医院にご相談ください。

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監修者 林 剛永

執筆・監修:林 剛永(Kangyeong Lim / Taketo Hayashi)
日本・米国歯科医師/口腔インプラント Diplomate(ABOI/ID・AO)| DDS・MS・DABOI/ID・DAO・AAID Fellow