歯がすり減ってきた

「歯が平らにすり減ってきた」「前歯の先が薄く透けている」「最近歯が短くなった気がする」——歯のすり減り(咬耗・こうもう)は、少しずつ進むため自覚しにくいのですが、進行すると治療が大がかりになる、見逃したくない変化です。

歯がすり減る主な原因:歯ぎしり・食いしばり・TCH

✔ この記事でわかること

  • 歯がすり減る本当の原因(歯ぎしり・食いしばり・TCH)
  • 症状がなくても進行する咬耗の怖さ
  • ナイトガードなど今日からできる対策

歯がすり減るおもな原因

  • 歯ぎしり(ブラキシズム):睡眠中の歯ぎしりでは体重を超えるほどの力がかかるといわれ、すり減りの最大の原因です。本人は自覚がないことがほとんどです。
  • 食いしばり・TCH(歯列接触癖):日中、無意識に上下の歯を接触させ続ける癖です。仕事や運転・スマホ操作中の「なんとなく噛んでいる」状態が歯を疲弊させます。
  • 加齢による生理的な咬耗:長年の使用によるある程度のすり減りは自然な変化です。
  • 酸蝕(さんしょく)との合わせ技:酸性の飲食物で軟らかくなった歯は、通常よりずっと速くすり減ります。

しみる症状がある場合

エナメル質がすり減って内側の象牙質が露出すると、冷たいもの・歯ブラシでしみる知覚過敏が起こります。しみる場合は象牙質がすでに露出しているサインで、露出面はむし歯にもなりやすい状態です。知覚過敏用歯磨き粉・フッ素塗布・露出部のコーティングや詰め物などで対応します。

症状がなくても進行しています

すり減りがゆっくり進むと、歯の内部で防御反応(第二象牙質の形成)が起こるため、痛みやしみる症状が出ないことも多くあります。ただし症状がない間にも、かみ合わせの高さが失われ、歯の先端が薄く欠けやすい状態になっていきます。「痛くないから大丈夫」とは言えないのが咬耗の怖いところです。

放置するとどうなる?

  • 歯の先端や角が欠ける・割れる
  • 詰め物・被せ物が壊れる、外れる回数が増える
  • かみ合わせ全体が低くなり、顎関節や顔貌にも影響が出ることがある
  • 知覚過敏・むし歯リスクの上昇

治療と対策

  • ナイトガード(マウスピース):睡眠中の歯ぎしりから歯を守る、最も基本的な対策です。保険適用で作製できます。
  • TCHへの気づき:「唇を閉じても上下の歯は離す」が正常な状態です。付箋などを目印に、気づいたら歯を離す習慣づけが有効です。
  • すり減った部分の修復:欠損が小さければ白い樹脂(コンポジットレジン)で、大きければ被せ物でかみ合わせを回復します。
  • 知覚過敏の処置・フッ素塗布:しみる症状への対症と歯質強化。

まとめ

歯のすり減りは「自然の摩耗」に見えて、多くの場合歯ぎしり・食いしばりという治療可能な原因が背景にあります。歯の先端が平らになってきた、朝起きると顎が疲れている、家族に歯ぎしりを指摘された——ひとつでも当てはまる方は、ナイトガードについて歯科医院で相談してみてください。

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監修者 林 剛永

執筆・監修:林 剛永(Kangyeong Lim / Taketo Hayashi)
日本・米国歯科医師/口腔インプラント Diplomate(ABOI/ID・AO)| DDS・MS・DABOI/ID・DAO・AAID Fellow