しみる等の症状がある

歯科医院にて ​’象牙質知覚過敏に対する処置’、 または ’詰め物や被せ物による修復’、 または あまりに症状がひかない場合、’抜髄’の処置を受ける必要があります。

咬耗とは?

咬耗とは長年歯と歯がかみ合うことにより次第に歯がすり減っていくことを指します。
自然な咬耗は病的なものではないのですが、夜間に歯ぎしりをする方や、日中食いしばっている方、もしくは異常に咬合力(かみ合わせの力)が強い方は歯のすり減りが激しく、咬耗によって冷たいものや熱いものがしみる症状が出てきたりします。

また、長い間食いしばりや歯ぎしりを続けることで、顎関節にも負担がかかり、顎関節症などの症状が出ることがあります。

夜間の歯ぎしりがひどい方は、早めにナイトガードを歯科医院にて作製してもらうことをおすすめします。

マウスピース(ナイトガードと呼ばれることも多いです)には柔らかいものと硬いものがあります。

①柔らかいもの
柔らかいマウスピースは、違和感が少ないという利点がありますが、使用していくうちに穴が空きやすいという欠点があります。

②硬いもの
硬いマウスピースは、長年使用しても穴が空きにくいという利点がありますが,装着時の違和感が大きいという欠点があります。

ここで注意していただきたいのは、マウスピースは基本的には歯ぎしりをなくすことを目的として使用するものではありません。人体の中でも最も硬いといわれる歯同士が、直接ぶつかることによる歯や顎への負担の減少を目的としています。
なのでマウスピースを作っても使わなくなってしまったら意味はありません。

最初は皆さん使いにくいと思いますが、多くの方は次第に慣れていきます。

象牙質知覚過敏

象牙質知覚過敏とは、いわゆる知覚過敏であり、表層部のエナメル質やセメント質がなくなり、その下の象牙質が露出することによって冷たいものなどがしみるようになることを言います。
​象牙質が露出することによって痛みを感じるメカニズムは以下のようになります。

象牙質知覚過敏

上の図のように象牙細管に入り込んだ歯髄からの神経に刺激が加わることによって痛みを感じます。

治療法

動水力学説に基づき、象牙質表面を歯科材料で覆う方法や、象牙細管を閉塞させることにより、刺激を遮断することが処置の基本方針となります。

​①薬物の塗布(塩化亜鉛や硝酸銀、アンモニア銀、フッ化ジアミン銀、フッ化ナトリウム、タンニン・フッ化物、塩化ストロンチウム、パラホルムアルデヒド等)

②象牙質の被覆(グラスアイオノマーセメントやレジン、高分子被膜、バーニッシュなどにより、露出象牙質を被覆する。

③レーザーによる神経の鈍麻や、象牙質の溶解、組織液の凝固など。

④イオン導入法(亜鉛イオンやフッ素イオン))

⑤抜髄処置(他の手段で症状が消失しない場合)

 

知覚過敏治療イメージ

詰め物やかぶせ物による処置

歯がすり減ってしまい、歯の表面にあるエナメル質がなくなると、内部の象牙質が露出してきます。この象牙質に刺激が加わると痛みを感じるため、知覚過敏の処置を行ったり対策をするのですが、噛み合う面の象牙質が露出している場合、それだけでは不十分であり、よりしっかりと象牙質を被覆するためにレジン(プラスチックの材料)で表面を覆ったり、金属の被せ物をかぶせたりしていく必要が出てきます。
こうした処置を行う場合は、場合によってはある程度大きく歯を削る必要も出てきます。

抜髄法

まず、この処置は痛みを伴うので麻酔が必要です

 

浸潤麻酔

処置を行う歯に虫歯がある場合、まず基本的にその除去を行うことが優先です。そして虫歯等の処置が終わったらさらに歯を深く削っていき、歯髄へ到達します。穴を掘っていくの場所や方向は、歯の種類によって異なり、解剖学(かいぼうがく)の熟知が必須です。またこの時に歯が生えている方向や歯髄の石灰化(せっかいか)の程度を考えずに行うと、歯に人工的な穴を開けてしまう危険性を伴います。

歯髄へ到達したら、上の部分に存在する歯髄の除去を行った後、根管の入り口を発見し、ファイルという器具を使って根っこの先の方の歯髄の除去を行います。この時に歯髄の取り残しがあると、痛み等の不快症状につながります。抜髄が終わったら、それと同時に根管拡大(こんかんかくだい)・根管形成(こんかんけいせい)を行い、根管充填ができる状態にしていきます。

ファイルロータリーファイル

 

根管充填が終わった後、痛みが出ないことが確認できたら上の部分をレジン(樹脂の材料)で埋めて終わるか、歯が割れる可能性が高い場合はアンレー(被せ物)にして噛む力によって歯が割れるのを防ぎます。

根充後RFとアンレー

急性歯髄炎の段階では根の先に病変をレントゲン上で確認できない場合が多いですが、稀に神経が生きていても根の先に病変が認められる場合があります。その場合でも抜髄が成功すれば病変は次第に消えていきます

また、根っこの治療の際にはラバーダム防湿法を行うことが推奨されています。
ラバーダムとはゴムのマスクを用いて唾液などの細菌感染源の侵入を防ぐ方法です。
根っこの治療をする際にラバーダムをしているかどうかも良い歯科医院を選ぶ際の判断基準の一つとなります。

ラバーダムの例

ラバーダムの例

生活歯髄断髄法

生活歯髄切断法(せいかつしずいせつだんほう)とは、歯髄の炎症が一部分に限局している場合に、炎症が起きている部分の歯髄のみ除去して、それより先の方の歯髄を残す方法です。生活断髄法(せいかつだんずいほう)とも呼ばれます。お子さんでまだ根っこの先が完成しきっていない場合には、この方法を行うことによって根っこの成長を継続させることができます。

断髄

※イラストはあくまで治療の一例です。

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