熱いものがしみる

あなたは 急性化膿性歯髄炎 象牙質知覚過敏 の疑いがあります。

熱いものがしみる理由

熱いお茶やスープを飲んだ時に異常な痛みを感じたことはありませんか?
熱いものがしみる原因には以下のようなものがあります。

・急性化膿性歯髄炎
・象牙質知覚過敏

以下ではそれぞれの原因について詳しく説明していきます。

急性化膿性歯髄炎とは

歯髄炎の中でも細菌の感染が起こることにより発生する歯髄炎です。主に虫歯によっておこり、歯の破折、外傷、重度の歯周炎によっても起こります。強い自発痛、放散痛、持続痛があります。夜寝られないくらいの激しい痛みを伴うことも多く、また、温熱刺激で痛みが増強されますが、冷刺激によって歯髄の痛みが弱まることがあります。

急性化膿性歯髄炎

治療法

抜髄法

この方法は一般的には”神経を抜く”と言われます。まず、この処置は痛みを伴うので麻酔が必要です。

浸潤麻酔

処置を行う歯に虫歯がある場合、まず基本的にその除去を行うことが優先です。そして虫歯等の処置が終わったらさらに歯を深く削っていき、歯髄へ到達します。穴を掘っていくの場所や方向は、歯の種類によって異なり、口腔解剖学の熟知が必須です。またこの時に歯が生えている方向や歯髄の石灰化の程度を考えずに行うと、歯に人工的な穴を開けてしまう危険性を伴うので注意が必要です。

歯髄へ到達したら、上の部分に存在する歯髄の除去を行った後、根管の入り口を発見し、根っこの先の方の歯髄の除去を行います。この時に歯髄の取り残しがあると、痛み等の不快症状につながります。抜髄が終わったら、それと同時に根管拡大・根管形成を引き続き行い、根管充填ができる状態にしていきます。

ファイル  ロータリーファイル

根管充填が終わった後、痛みが出ないことが確認できたら上の部分をレジン(樹脂の材料)で埋めて終わるか、歯が割れる可能性が高い場合はアンレー(被せ物)にして噛む力によって歯が割れるのを防ぎます。

根充後RFとアンレー

急性歯髄炎の段階では根の先に病変をレントゲン上で確認できない場合が多いですが、稀に神経が生きていても根の先に病変が認められる場合があります。その場合でも抜髄が成功すれば病変は次第に消えていきます

また、根っこの治療の際にはラバーダム防湿法を行うことが推奨されています。
ラバーダムとはゴムのマスクを用いて唾液などの細菌感染源を除去する方法です。
根っこの治療をする際にラバーダムをしているかどうかが良い歯科医院を選ぶ際の判断基準の一つとなります。

ラバーダムの例

ラバーダムの例

生活歯髄断髄法

生活歯髄切断法(せいかつしずいせつだんほう)とは、歯髄の炎症が一部分に限局している場合に、炎症が起きている部分の歯髄のみ除去して、それより先の方の歯髄を残す方法です。生活断髄法(せいかつだんずいほう)とも呼ばれます。お子さんでまだ根っこの先が完成しきっていない場合には、この方法を行うことによって根っこの成長を継続させることができます。

断髄

※イラストはあくまで治療の一例です。

象牙質知覚過敏とは

象牙質知覚過敏とはいわゆる”知覚過敏”のことで、本来はエナメル質や、セメント質で覆われているはずの象牙質が何らかの理由で露出してしまうことによって冷たいものや、熱いものを飲んだ時、もしくは機械的な刺激が加わった時(歯ブラシ等)に痛みを感じる現象のことを言います。

象牙質知覚過敏の原因

象牙質知覚過敏症の原因は、まだ不明な点も多いですが、主として象牙細管の開口によって、細管内の組織液が動き神経を刺激することという動水力学説が広く受け入れられています。
細管内の組織液の移動は、エナメル質の欠損、歯頸部歯肉の退縮などによる根面露出を引き起こす様々な原因によって引き起こされます。

象牙質知覚過敏

象牙質知覚過敏の自宅でできる対処法

知覚過敏用歯磨き粉を使う

知覚過敏は1日も早く歯科医に行って診察を受ける事が大切ですが、忙しい人にとってはなかなか歯医者さんに行く事もできないかもしれません。

そんなときに自宅で試したいのが『知覚過敏用歯磨き粉』、いわゆる「シュミテクト」などの知覚過敏用の歯磨き粉は、硝酸カリウム(カリウムイオン)という薬用成分が露出した象牙質をカバーし、象牙細管へ刺激が伝わらないようにし、使用を続ければ「歯がしみる」症状が緩和される事が期待できるのです(使用をやめれば再び歯がしみる可能性はあります)。

症状が軽ければこのような歯磨き粉を使用するだけで症状が改善、解消することも珍しくありませんが、1~2週間ほど知覚過敏用歯磨き粉を使用しても効果がなかった場合は虫歯の可能性もありますし、知覚過敏+歯周病の可能性も十分考えられますので、自宅でのケアを諦めて1日も早く歯科医に行きましょう。

歯磨き粉

治療法

動水力学説に基づき、象牙質表面を歯科材料で覆う方法や、象牙細管を閉塞させることにより、刺激を遮断することが処置の基本方針となります。

​①薬物の塗布(塩化亜鉛や硝酸銀、アンモニア銀、フッ化ジアミン銀、フッ化ナトリウム、タンニン・フッ化物、塩化ストロンチウム、パラホルムアルデヒド等)

②象牙質の被覆(グラスアイオノマーセメントやレジン、高分子被膜、バーニッシュなどにより、露出象牙質を被覆する。

③レーザーによる神経の鈍麻や、象牙質の溶解、組織液の凝固など。

④イオン導入法(亜鉛イオンやフッ素イオン))

⑤抜髄処置(他の手段で症状が消失しない場合)

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