歯がぐらぐらする

あなたは 歯周病で骨が痩せている 一部の歯が強く当たるようなかみ合わせとなっている の疑いがあります。
ひとことで言うと
歯がぐらぐらする原因の多くは、歯周病で歯を支える骨が減っていることか、一部の歯だけに噛む力が集中していることです。どちらも早めに手を打てば改善が見込めることがあります。ぐらつきをそのままにすると歯周病の治りを妨げるため、放置しないことが大切です。

歯がぐらぐらする原因

歯がぐらぐらする原因には以下のようなものがあります。
歯周病が原因で周りの骨が溶けてきている
一歯のみが強く当たるなど、負担が大きくかかりすぎている。

以下にそれぞれの原因について解説をしていきます。

歯周病

歯周病によって歯の周りの骨が溶けることで歯を支える力が弱くなると、歯が揺れてきます。

少数歯のみ強くあたっている

また、一部の歯だけが噛み合わせの時に強く当たっていることでも歯の揺れが生じてきます。

噛む力が複数の歯に均等に分散している状態と、1本の歯だけが強く当たって力が集中している状態を比べた模式図
▲ 左は噛む力が多くの歯に分散している状態。右は1本の歯だけが強く当たり、その歯だけに力が集中している状態です。集中した力は、その歯を支える組織の負担になります。

対策

歯周病で歯の周りの歯槽骨が溶けることによって歯の支持が弱くなり、歯の動揺が見られる場合は、しっかり歯石をとって歯周病の治療を行い、炎症が改善することによって改善が見込めます
また、一度歯周病によってレントゲン上で無くなってしまったようにみえる骨もしっかり歯石を取って炎症をひかせることである程度回復することがあります

実際の症例で見てみましょう

文章だけではイメージしにくいので、実際に治療した例をお見せします。歯のぐらつきがあった方に、歯周病の治療——歯石の除去に加えて、歯周外科手術と骨移植——を行った前後の記録です。

歯周治療を行う前のデンタルX線写真。上の前歯で歯を支える骨が失われ、歯の根のまわりが黒く抜けて見える

治療前

歯周外科手術と骨移植を含む歯周治療を行った後のデンタルX線写真。炎症が落ち着き歯を支える骨の状態が改善している

治療後

▲ 上の前歯のレントゲン写真。治療前(左)は歯を支える骨が失われ、歯の根のまわりが黒く抜けて見えます。治療後(右)は炎症が落ち着き、骨の状態が改善しました。
歯周治療を行う前の口腔内写真。歯ぐきが赤く腫れ、はれぼったい状態

治療前

歯周治療とセラミックによる被せ物の治療を行った後の口腔内写真。歯ぐきの炎症が引き締まっている

治療後

▲ お口の中の様子。治療前(左)は歯ぐきが赤く腫れ、はれぼったい印象があります。治療後(右)は炎症が引き、歯ぐきが引き締まりました。なお治療後の写真にはセラミックによる被せ物の治療も含まれるため、歯そのものの見た目も変わっています。

この方は、こうした治療によって炎症が軽減し、歯のぐらつきも収まりました。「もう抜くしかない」と思われていた歯が、支えている骨と歯ぐきの状態が良くなることで、ふたたびしっかり噛める状態に戻ることは、じつは少なくありません。

ここが大切
歯がぐらぐらしていても、すぐに抜歯と決まるわけではありません。ただし、どこまで回復できるかは骨がどれだけ残っているかや進行の程度によって大きく変わり、すべての方が同じように改善するわけではありません。まずは現在の状態を歯科で診てもらうことをおすすめします。

噛んだときに少数(1~2歯)の歯が強く当たることによってその歯にかかる咬合力が過大となり、歯に動揺が見られる場合、その強く当たる部分を削って当たりを弱めることで、改善が見込めます
​どちらかが補綴物(被せ物)であればそちらを削ることでご自身の歯を削らなくて済む場合もあります
歯に動揺があることは歯周病の治癒を妨げる要因にもなるので、早めにこの動揺を取り除く必要があります。

また、乳歯で動揺がある場合は、その歯が虫歯などで神経が死んでしまい、根尖部に膿ができることによって一時的に動揺が見られる場合があります。この場合は根っこの治療を行うことで動揺の改善がみられます。
​また、正常な現象ですが、歯の生え変わり時期にも動揺が見られます。

監修者 林 剛永

執筆・監修:林 剛永(Kangyeong Lim / Taketo Hayashi)
日本・米国歯科医師/口腔インプラント Diplomate(ABOI/ID・AO)| DDS・MS・DABOI/ID・DAO・AAID Fellow