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コンビニより多い歯科医院の現状と今後について本気出して考えてみた。

コンビニより多い歯医者の現状

こんにちは!

皆さんは現在、日本における歯科診療所の数はコンビニの数より多い、という噂を聞いたことありませんか?

そんなの常識でしょ!という声が聞こえてきそうですが(笑)

実はその通りです。

平成31年度の厚生労働省の医療施設動態調査によると、歯科診療所の数は68,477件(2019年一月末)、

一方、日本フランチャイズチェーン協会によると2019年12月末の全国のコンビニエンスストア店舗数は55,620件でした。

この結果を見ると歯科医院の件数は、コンビニ件数よりも1万件も多いということになります。

(ちなみによく引き合いに出される、美容院の数は平成30年度末時点で、251,140施設であり、歯科医院よりも3.7倍ほど多くなっています。日本にある信号機の数は208,061台で、美容院の数は信号機よりも多いです。)

歯科開業医の数はコンビニの数よりも多いという噂は本当です。

さて、この噂からいくと歯科業界の行く末は大丈夫なのか、という気がしてきます。

コンビニの数が歯科医院の数を上回ったことはあるのか?

しかし、ここで、そもそも歯科医院の開業医の数がコンビニの数を一度でも下回ったことがあるのか?という疑問が湧いてきます。

そこで、それぞれの数を調べてグラフ化してみました。(普段パソコンをあまり使わないのでこの程度作るのに30分以上かかりました。(笑))

ーコンビニの件数と歯科医院件数の比較(下図)ー

歯科医院の数については1999年以前のデータを見つけられなかったのですが、

これ以前はコンビニの数が極端に少なくなるので、それ以前も歯科医院の件数の方が多いのは間違いないです。

このデータを見ると、そもそも歯科医院の件数がコンビニの件数を下回ったことなんてなかったんです。

つまり、今や歯科医院の数はコンビニの数よりも多い!というよりも、

コンビニの数が歯科医院の数を上回りそうな勢いで増えているぞ!といった表現の方が正しいと言えます。

では、歯科医師過剰と言われているのは嘘なの?というのが次の疑問です。

歯科医師過剰は嘘なのか?

では、患者さんの数に対する歯科医師の数はどのくらいなのでしょうか?

そもそも、昭和40年代~50年代にかけて歯科医師不足が問題となり、一気に歯学部・歯科大学歯4倍近くも増加しました。

人口10万人あたり歯科医師数をおよそ50名にするという目標でしたが、その目標はすぐに達成され、目標を大きく超えて、現在(2018)の歯科医師数は人口10万人当たり80.5名となっています。

※厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」より(平成30年12月31日現在)

この結果は世界でも、2017年時点で、OECD加盟国(35カ国)の中では12位、全体の中では193カ国中26位という結果になっており、

少なくとも他国と比べても決して少ない数というわけではないことがわかります。(WHO,GHO data repository 2017)

また、全歯科診療所の一日当たりの類推患者の数は、平成29年のデータで1,347,700名であり、

これを歯科診療所の数(68,872件)で割ると一歯科医院あたり約20名という結果になります。(※厚生労働省の平成29年(2017)患者調査の概況、及び医療施設動態調査2017)

一つの歯科診療所に対して、一日の患者数が20名というのは、決して多い数字ではありません。

しかも私が昔働いていた医院では、一日100人以上の患者が来ていました。

裏を返せば、一日の患者数が4人以下しか来ない歯科医院もある可能性が高いということです。

これでは歯科医院の経営は成り立たないので、この状況が続くようであれば、閉院もやむを得ないという事になりそうです。

結果として、来院する患者さんの数に対する歯科医院の数は’過剰‘と言えます。

ちなみに、総人口が全て歯科医院に来院される患者さんであったとすれば、一人の歯科医師当たり1,200人程度の患者さんがいる計算になります。

これは、たとえすべての歯科医師が個人開業医であったとしても、おそらく十分にやっていける数の患者数です。

(歯科医院のスタイルや規模によって一日に見るべき患者数は大きく異なりますので、一概には言えませんが(一日5,6人診れば十分であるというところもあれば、50,60人診ないと難しい医院もあります。)、仮に1日あたり平均25人見れば良いという医院ばかりであったとすると、1200人の患者さんを診るのに必要な日数は48日ほど。むしろすべての歯科医院が1ヶ月以上予約の取れない人気の歯科医院となるでしょう。)

今後歯科業界はどうなっていけばよいのか?

上記の状況であれば、歯科医院同士の潰しあいをする必要はなく、

歯科医院に来院されていない患者さんに来院していただく(潜在患者に目を向けること)、ことだけでも十分に改善できる、ということになります。

もちろん日本の人口すべてが実際に来院する患者になるということは実際にはありえません。

歯科医院は治療をするためだけに行く場所ではありません

“世界最大の感染症”と呼ばれている歯周病にかからないようにケアをしたり、

ホワイトニングや矯正などの見た目や機能を向上させに行くためだけの場所、つまりサロンのような場所であってもよいのです

そもそも、治療なんてしなければしないほど、患者さんにとっては良いことのはずです。

治療をしたって、虫歯や歯周病の進行が止まる保証なんてどこにもありません。

見た目も良くない金属の詰め物や被せものを入れる必要だってないはずです。

しかし、現状として虫歯や歯周病に罹患して初めて来院される患者さんの数は、とても多いです。(もちろん以前よりは疾病にかかる前に検診に通う患者数は増えました。)

そこで個人の意見にはなりますが、これからの歯科業界は、現在よりさらに予防を推し進め、

同時にまだ歯科医院に通うという習慣のない潜在患者に歯科医院に行くように呼びかけていくことを真剣に考えることが何より重要なのではないでしょうか?

 

…かけだしの歯科医師が偉そうに語ってしまいましたが、少しでも皆さんの参考になっていただけましたら幸いです。

それでは長くなりましたがまた次回の投稿でお会いしましょう!!

 

 

 

 

 

ABOUT ME
林剛永
2015年に大阪大学歯学部卒業、同大学での研修後、現在は勤務医として日々診療に全力投球中。大学卒業後、各歯科医院によって方針や治療の幅や質にとても大きな違いがあることに驚き、患者さんが自分に最もあった治療を受けられるようになる一助になればと願い、当サイトを立ち上げました。
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