歯の構造
まずは歯の基本的な構造について確認していきましょう。
用語の解説
エナメル質
歯の組織のうち、口腔内に露出している部分で最外層に位置します。人体の中で最も硬い組織であり、唾液の作用により経年的に石灰化度が高まっていき、透明度が高まっていきます。痛覚はなく、ここを削っても痛くありません。唾液による表層のほんの少しの再石灰化作用以外は再生能力はほぼなく、この組織を如何に失わないようにするかが歯の健康にとってとても重要になってきます。
象牙質
エナメル質の内側にある組織です。この部分には痛覚があり、麻酔なしで削ると痛みが出ます。象牙質が口腔内に露出すると知覚過敏の原因となります。色はエナメル質より少し黄色がかっており、経年的な石灰化の進行によりエナメル質の透明度が高まると象牙質の色が透け、歯の色が黄色っぽくみえてきます。
セメント質
象牙質よりも外側にあり、歯の根っこの表層を覆う組織です。エナメル質ほど硬くないため、歯肉(歯茎)が下がってこの部分が口腔内に露出すると虫歯にかかりやすくなります。
歯髄
いわゆる歯の’神経’です。歯医者さんに行って「神経を治療しましょう」と言われたらこの部分の治療をすることを言います。歯髄が感じられる刺激は「痛み」しかないので、ある程度以上の刺激が加わると全て「痛い」という感覚として伝わります。しかし、どんな痛みによってある程度原因を類推することができるので、痛みについて聞かれた際は、できるだけ詳細に(いつから、どんな風に、何をした時に、どの程度、すぐおさまるのか等)答えるようにしてください。
歯根膜(歯周靭帯)
歯と周囲の組織を繋ぐ線維です。歯根膜は歯を周囲につなぎとめる以外にも、硬すぎるものを噛んでしまった時にそれ以上噛みすぎて歯を悪くしないように反射的に筋肉を抑制する働きや、歯に力がかかった時のクッションとしての働きなど様々な働きがあります。インプラントではこうした歯根膜の働きの恩恵を受けられないため、必要以上に過大な咬合力がかかってしまうことがあります。
歯槽骨
歯の周りの骨のことを臨床家の間では普通、歯槽骨といいます。歯槽骨は歯を支える骨で、歯髄が壊死を起こし、根っこの周りに膿の袋を作るとその部分の骨が溶け、レントゲン上で黒く写ります。歯周病によってもこの歯槽骨は溶けます(俗に言う歯槽膿漏)。
歯肉
歯茎のことです。歯の根っこを覆っており、歯槽骨よりも外側に位置します。歯磨きの圧力が強すぎたりすると歯茎が下がり、歯根が露出します。長い間金属の被せ物をしたり、タバコを吸うと歯茎が黒くなったりします。また高齢になると、癌もできることがあるので、何か異常が見られたら早めに相談に行くことをお勧めします。
歯の種類
人間の歯は成人では基本的に32本ありますが、一番うしろの歯、第三大臼歯は親知らず(智歯)とも呼ばれ、現代人においては正常に生えてくることは稀です。
また、そもそもこの第三大臼歯が先天的に欠如している方もいます。親知らずは正常な方向に生えてきており、反対の歯と噛み合っている限りはそのまま放置して大丈夫ですが、横に生えてきたり、反対の歯と噛み合わなかったり、虫歯や歯周病に罹患する場合は積極的に抜くという処置を行っていきます。
歯の移植を考えている場合この歯がドナーとして用いられる場合が多いですが、ある程度年齢が増してくると(一般的には40歳以降)、成功率が著しく低下します。
現代人においては親知らずはなくても特に問題はなく、上下で28本の歯が生えていればすべての歯が揃っていると判断しても構わない場合が多いです。
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