虫歯とは、歯についたう蝕原性菌(むしば菌)が砂糖などの発酵性糖質を使って出す酸によって歯が溶けた状態のことを言います。
よく患者さんから”痛くないのに虫歯なんですか?” と質問を受けることがあるのですが、あくまでも虫歯は歯が溶けた状態のことなので虫歯だからと言って痛いかどうかは関係ないんですね。
目次
虫歯と砂糖の関係について
さて今回はむしば菌の栄養になる砂糖、発酵性糖質についての話です。
発酵性糖質がむし歯に関係しているとわかり始めたのは1940年代頃といわれています。今回は虫歯と糖質の関係を様々な先人の報告から紐解いていこうと思います。
砂糖を食べると歯の表面が酸性になる?!
1940年、Stephanらは10%のブドウ糖液でうがいをすると歯の表面についたプラークが一気に酸性に傾き、その後唾液によってゆっくりと中性にもどるという報告をしました。これはステファンカーブと呼ばれ、現在でも非常に有名なものとなっています。
砂糖の摂取量を減らすと虫歯が減る?!!
Toverud らは、第二次世界大戦中砂糖の摂取制限があった間ノルウェーの子供たちの虫歯の発生率が下がり、戦後砂糖を自由に摂取できるようになるにつれまた虫歯が増えたことを報告しました。また2018年、WHOは砂糖の摂取量を一日の総カロリーの10%以下(4-50g)にすると虫歯のリスクが減ることが報告されています。500mlのコカ・コーラには約56g の砂糖が含まれており普段摂取しているジュースの砂糖の多さに驚きつつ砂糖を減らす難しさがわかります。
お菓子のダラダラ食いがむし歯を増やす?!!
Vipeholm Study(1954)では砂糖の摂取量だけでなく、そのタイミングも重要であると報告しました。
ここでは、合計の砂糖の摂取量はいっしょでも食事と一緒におやつを食べる方が間食で何回もおやつを食べる方がむし歯が増えることが報告されました。また、おなじおやつでもキャラメルやヌガーのように粘着質で歯に残るものの方がゼリーのようにすぐなくなるものよりも虫歯のリスクが高いことも報告されました。
おやつは砂糖の量を意識して、時間を決めて食べましょう
今回はむし歯と砂糖の関係についてその歴史を踏まえながらお伝えしました。様々な論文で紹介されている通り、砂糖の量を減らすとむし歯のリスクは確実に減り、また糖質の摂取量は一緒でも食べ方を変えるだけでもリスクを減らせることが分かっています。そして同じ糖質でもオリゴ糖やキシリトールなど虫歯になりにくい糖質も報告されており、そういったものに置き換えることも非常に有用です。いろいろ試してみてくださいね!
LINE@にて、歯科関連の英語論文を日本語に翻訳し分かりやすく解説して配信しています。
今だけ無料で登録できるので、この機会に「お友達登録」してみてはいかがでしょうか?