「いつも3Sの歯間ブラシを使っているから、別のメーカーでも3Sを買えばいい」
そう思って購入したら、前よりきつい。あるいは、なんだかスカスカする。
そんな経験はありませんか?
実は、歯間ブラシの「3S」「SS」「S」などの表示は、メーカーをまたいで同じサイズを保証するものではありません。
さらに2026年10月13日、国際的なサイズ区分である「ISO 3」に相当するとされた製品でも、表示と実測結果に食い違いがあったという研究が発表されました。[1]
いつもの歯間ブラシを買うとき、何を確かめればよいのでしょうか。サイズ表示の意味から考えてみます。
歯間ブラシの「3S」などのサイズ表示や色は、メーカーが違えば同じサイズとは限りません。「ISO 3」とされた製品でも、表示と実測結果が食い違ったという研究があります。「私は3S」ではなく、メーカー・製品名・サイズ・使う場所をセットで確認し、無理に押し込まないことが大切です。
この記事のポイント
- 同じ「3S」や同じ色でも、メーカーが違えば同じ製品サイズとは限りません。
- 歯間ブラシのサイズには、外見の太さとは異なる「PHD」という指標があります。
- 研究では、ISOサイズの表示と実測結果との不一致も報告されています。
- 選ぶときはメーカー・製品名・サイズ・使う場所を確認し、無理に押し込まないことが大切です。
歯間ブラシの「3S」はメーカー共通?
歯間ブラシには、4S、3S、SS、S、Mなど、さまざまなサイズ表示があります。
洋服のS・M・Lのように分かりやすい表示ですが、同じ呼び名なら、メーカーが違っても同じとは限りません。色分けも同様です。
2020年の研究では、24メーカーの290種類について、各8本、計2,320本の歯間ブラシが調べられました。サイズの区分や表示方法はメーカーによって異なり、調査対象のうちISOサイズを表示していたメーカーは約3分の1、PHDを表示していたメーカーは4分の1でした。[2]
これは当時の調査対象についての数字であり、現在の日本市場全体の割合を示すものではありません。それでも、サイズの比較が簡単ではないことが分かります。
「前に青色を勧められたから、別のメーカーでも青を買う」という選び方では、合わないことがあるのです。

歯間ブラシの見た目の太さと「PHD」は違う
そもそも、歯間ブラシの「太さ」とは、どこの太さなのでしょうか。
中心のワイヤーの太さでしょうか。それとも、毛先から毛先までの幅でしょうか。
実際には、ワイヤーの太さだけでなく、毛の長さや密度、硬さ、ブラシの形も、隙間への入りやすさに関わります。[2]
そこで使われるのが、PHD(Passage Hole Diameter:通過孔径)という指標です。
大きさの違う穴が並んだ試験用の板にブラシを通し、中心のワイヤーを変形させずに通過できる、最も小さな穴の直径を調べます。毛は通過するときにたわむため、見た目のブラシの幅とは異なります。[3]
ただし、口の中の歯間は、試験用の丸い穴とは形も周囲の組織も違います。PHDは製品を比較する手がかりであり、その数字だけで自分に合うサイズが決まるわけではありません。
ISOサイズは、PHDを一定の範囲にまとめたもの
歯間ブラシには、ISO 16409という国際規格があります。今回の研究で用いられたISO 16409:2016では、PHDに応じてサイズを区分しています。[1][3]
例えば、ISO 3はPHDが1.1〜1.2mmの区分です。
ここで注意したいのは、メーカー独自の「3S」と国際規格の「ISO 3」は別の表示だということ。また、同じISOサイズにも一定の幅があり、完全に同じ寸法を意味するわけではないことです。
「ISO 3」の歯間ブラシを実際に測った研究
2026年にScientific Reportsで発表された研究では、チェコで入手した8メーカーの、ISO 3に相当するとされた歯間ブラシを調べました。[1]
研究者は、顕微鏡で毛先やワイヤーなどの構造を観察するとともに、各製品16本、計128本についてPHDを測定しました。
すると、128本中111本が、ISO 3の範囲より小さい1.0mmの穴も通過したと報告されています。
つまり、「同じISOサイズでも寸法に多少の幅がある」というだけでなく、この試験では、表示されたサイズ区分と測定結果が一致しない例が多く見つかったのです。
この研究から分かること・分からないこと
これは特定の製品を実験室で調べた研究です。日本で販売される「3S」製品同士を比較した研究ではありません。
また、使用者の歯肉の傷や清掃効果を直接調べた臨床試験でもありません。この結果だけで、特定のメーカーが危険だと判断することはできません。
サイズ表示は参考になります。ただし、それだけで実際の適合や使い心地まで分かるわけではない、というのが日常の選び方につながるポイントです。
歯間ブラシの選び方で覚えておきたいこと
その歯間に合ったサイズを選ぶ
歯間ブラシは、太ければ太いほどよく取れるわけではありません。
小さすぎて毛が歯面に十分触れなければ、清掃しにくくなります。一方、大きすぎるものを強く押し込めば、ワイヤーが曲がったり、歯肉を傷つけたりするおそれがあります。
目安は、無理なく入り、毛が歯面に触れるサイズです。強く押し込まなければ入らない場合は、サイズや挿入方向を確認しましょう。歯科医院では、歯間ごとに適した製品を相談できます。[1]

同じ人の口の中でも、細いブラシが合う場所と、より太いブラシが合う場所があります。すべての歯間を1本のサイズで清掃できるとは限りません。
「メーカー・製品名・サイズ・使う場所」をセットで覚える
歯科医院で選んでもらったら、「3S」という表示だけでなく、メーカーや製品名も確認しておきましょう。
パッケージをスマートフォンで撮影しておくと、買い足すときに便利です。複数のサイズを使う場合は、どの場所に使うかもメモしておくと迷いにくくなります。
メーカーや製品シリーズを変えるときは、同じサイズ名でも、これまでと同じ感覚で押し込まないようにしましょう。

「きつい」「痛い」「ワイヤーがすぐ曲がる」「毛が歯に触れていない感じがする」。そんなときは、サイズや使い方を見直すきっかけです。
歯間ブラシのサイズについて、よくある質問
Q. 3SとSSSは同じですか?
3SをSSSの意味で使う製品もあります。ただし、表記だけで別メーカーの製品と同じサイズだとは判断できません。製品ごとのサイズ表や説明を確認してください。
Q. ISOサイズが同じなら、そのまま交換できますか?
比較の参考にはなりますが、同じISOサイズにもPHDの範囲があります。毛やワイヤーの構造も異なるため、同じ使い心地になるとは限りません。
Q. 色が同じなら、同じサイズですか?
メーカーが違えば、色分けの基準も違います。色だけで選ばず、メーカー・製品名・サイズを確認しましょう。
Q. 1種類のサイズで、すべての歯間を磨いてもよいですか?
すべての歯間に合っていれば使えますが、場所によって複数のサイズが必要なこともあります。狭くて入らない場所に無理に押し込まず、フロスなど別の清掃用具も含めて歯科医院で相談してください。
まとめ|歯間ブラシは「何Sか」より「その場所に合うか」
同じ「3S」でも、メーカーが変われば使い心地が変わることがあります。国際規格のISOサイズも、適合を判断するための情報の一つです。
だから、覚えておきたいのは、
「私は3S」ではなく、「このメーカーの、この製品の、このサイズが、この歯間に合っている」
ということ。
サイズ表示を手がかりにしながら、無理なく使えるかを確認する。毎日の小さな習慣だからこそ、自分の口に合うものを選びたいですね。
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参考文献
-
Hynková K, Voborná I, Langová K, Loskot J.
Laboratory evaluation of fibre quality and passage hole diameter of interdental toothbrushes.
Scientific Reports. 2026年10月13日公開(早期公開版)。
原著論文 -
Sekundo C, Staehle HJ.
Mapping the Product Range of Interdental Brushes: Sizes, Shapes, and Forces.
Oral Health & Preventive Dentistry. 2020;18(2):343–354.
全文
/
DOI -
International Organization for Standardization.
ISO 16409:2016. Dentistry — Oral care products — Manual interdental brushes.
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