海外歯科キャリア

どうしたらアメリカで“歯科医師”として働けるの?②ASPID/IDPプログラムを卒業する

皆さん、こんにちは! 前回は、アメリカで歯科医師として働くための1つ目の道「①デンタルスクールを卒業する」を解説しました。今回は2つ目、②ASPID/IDPプログラムを卒業するについて説明します。(以下、1ドル=150円として換算します。)

この記事の要点

  • ASPID/IDPは、アメリカ国外で歯科医師免許を取得した人向けの2年間プログラム。修了するとDDSが得られる。
  • 実質はデンタルスクールの3・4年目をやり直す形。他国の歯科医師が米国で働くための「標準ルート」。
  • 修了後はほとんどの州で歯科医師として就労可能という、専門医(レジデンシー)プログラムにない強みがある。学費は平均で約$144,000(約2,160万円)。

ASPID/IDPプログラムとは?

ASPID/IDPは、どちらもアメリカで働きたい、アメリカ国外で歯科医師ライセンスを取得した歯科医師のためのプログラムです。前回も触れたとおり、アメリカでは外国で歯科医師ライセンスを保有していても、それを使ってそのままアメリカ国内で働くことはできません。原則として、アメリカ国内で歯科教育を受け直し、試験に合格して初めて免許を申請でき、働けるようになります。

ASPIDとIDPはそれぞれ別のプログラムですが、修了後はどちらもDDSの学位を取得でき、期間はどちらも2年です。要は、デンタルスクールの3年目・4年目をアメリカでやり直すイメージです。すでに母国で受けた歯科教育に近い内容を学び直す形なので、まったく新しいことを大量に学ぶというより、他国の歯科医師がアメリカで働くための“標準的な手段”として認識されています。

受験方法(一般的な流れ)

各歯科学校によって細部は異なりますが、基本的な流れは次のとおりです。

  1. 定められた申請期限までにオンライン申請を完了する(他国での歯科教育を受けた証明、TOEFLスコアなどを含む)。TOEFLは一般に100点以上、かつ各セクション20点以上を求められることが多いようです。
  2. 処理手数料を提出する(この手数料は、不合格でも返還されないところがほとんどです)。
  3. 書類選考を通過した者のみ面接に進む。面接には実技の歯科検査(ワックスアップや形成など)も含まれます。
  4. 合格後、学生ビザを申請する。受け入れ後に I-20証明書(資格証明書)が発行され、母国の米国領事館・大使館でのビザ申請時に提出します。
  5. 多くの場合、初年度分の学費をまかなえる財政的リソースがあることを証明する公証済みの声明の提出が必要です。

無事に合格できたら、2年間学費を納めて所定の要項を修了し、国家試験に合格。そのうえで働きたい州で歯科医師免許を申請し、認可されれば、晴れて歯科医師として働くことができます。

専門医プログラムとの違い・学費

ASPID/IDPは「アメリカで歯科医師として働くこと」を前提としたプログラムです。そのため、基本的に修了後は母国に帰ることを想定している同じ学校のレジデントプログラム(専門医プログラム)よりも、英語に関してより高いレベルを求められる傾向があります。

一方で、これらのプログラムを修了した場合、ほとんどの州で歯科医師として就労が可能という点が、専門医プログラムと比べて有利です。学費は学校によって異なりますが、平均で約$144,000(約2,160万円)ほどが必要なようです。

それでは次回は、「③ Residency(レジデンシー)プログラムを卒業する」について解説します。お楽しみに!

アメリカで歯科医師として働く4つの道
①デンタルスクールを卒業する
・②ASPID/IDPプログラムを卒業する(本記事)
・③Residencyプログラムを卒業する|近日公開
・④ファカルティ(教員)として働く|近日公開


執筆・監修:林 剛永(Kangyeong Lim / Taketo Hayashi)DDS, MS, DABOI/ID, DAO・平和歯科医院(愛知県西尾市)著者プロフィールを見る
大阪大学歯学部卒、米国 California 州 Loma Linda University Implant Residency 修了(DDS, MS)。日本歯科医師免許・米国歯科医師免許保持。米国インプラント学会(ABOI)認定専門医。

プログラムの要件・費用・TOEFL基準・ビザ手続きは学校や年度により異なり、改定されることもあります(本記事の元情報は2023年時点。1ドル=150円で換算)。出願前に各歯科学校・米国大使館等の公式情報で必ずご確認ください。

ABOUT ME
林剛永 D.D.S., M.S., DABOI
2015年 大阪大学歯学部卒業。大阪大学歯学部附属病院での研修、約4年間の開業医勤務を経て、2020年より米国カリフォルニア州 Loma Linda大学大学院に留学し、インプラント歯科学を専攻・修了。ABOI/ID(米国口腔インプラント学会)ボード認定医(Diplomate)。現在は、インプラント治療を中心に臨床に従事しています。大学卒業後、各歯科医院によって方針や治療の幅や質にとても大きな違いがあることに驚き、患者さんが自分に最もあった治療を受けられるようになる一助になればと願い、当サイトを立ち上げました。
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