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歯科医師国家試験の合格が「狭き門」になっている件について。

歯科医師国家試験の合格が「狭き門」になっている件について

令和2年2月1日(土)、2日(日)に第113回歯科医師国家試験が執り行われました。
コロナウイルスの脅威の中、受験生の皆さんは本当にお疲れさまでした。

歯科医師国家試験の難易度は年々上がっており、歯科医師数を削減しようとする国の意図をますます感じる今日この頃です。

私が先日執筆させていただきました、「コンビニよりも歯科医院の現状と今後について本気出して考えてみた。」

の中でも題材に取り上げましたが、今日の歯科医療を取り巻く環境は非常に厳しいものがあります。

それに加えて、最近twitterにてこんなツイートを見かけました。

まぁ、自らが生きるためには仕方のないことだと思ってこの歯科医師もやっているのだと思いますが、歯科医師法第一条

歯科医師は、歯科医療及び保健指導を掌る事によって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。

に全く反していますよね。

国民の健康な生活を確保するどころか、患者さんの口の中を壊して金をとる詐欺師よりも酷いことをしています。

こんな人を歯科医師として認めていて良いはずがありません。

もし本当に存在するならば、早く捕まってくれることを祈ります。

歯科医師はモラルが低い?

さて、話はそれましたが、医師と比べても歯科医師はモラルの低い人が多いような気がします。

どうして高いモラルを有するべき歯科医師がこんなことをするのでしょうか。
そして、モラルの低い人が相対的に多いのでしょうか。

もちろん完璧に説明できる理由はありませんが、これはやはり歯科医師過剰にまつわる一連の流れと深く結びついていることが考えられます。

まず、現状として、歯学部に入ることのみを考えた場合、正直なところそんなに勉強しなくても入学できます。

もちろんその学校によってランクはピンからキリまで存在しますが、私立の歯学部であれば、偏差値にして40未満であっても合格されている方はいます。

噂ではある年のセンター試験の最低点をとった学生の志望学部は歯学部、だったとか。

もちろん勉強ができない=モラルが低いことには全くなりませんが、こと歯学部に入学する、ことだけに焦点を当てた場合、入学試験が何か特定のことに努力できる人間の選別には役立っていないということになります。

あとは、医師と比べると歯科医師の診療は口腔内に限定されることがほとんどなので、

死と直結する可能性が相対的に低く、命を扱っているという感覚が希薄になりやすいのではないか、という推測が成り立ちます。

ただし、そうした感覚は完全に間違っています。確かに心臓外科医や脳外科医のように、自分のオペが患者さんの生命を大きく左右する場面は少ないかもしれません。

しかし、実際に歯科医師の治療手技の誤りによって患者さんの生命が奪われた事例はありますし、たとえ直接的にではなくとも、人が毎日生活するために最も重要と言っても過言ではない”食事”に最も深く関わる尊い職業です。

命を軽薄に扱うような人が就いて良い職業では断じてありません。

歯科医師の数を減らすことについて

さてここまで、歯科医師が相対的にモラルの低い方が多くみられる現状について語ってきたわけなのですが、ここで本題につなげます。

今年2020年の歯科医師国家試験の全体の合格率は65.6%となっており、(細かい数字は間違っていたらすみません。)

従来の、合格率8~9割以上あったような時代に比べると、歯科医師になれる人数がかなり少なくなっています。

こうなってくると、なんとなく将来やりたいことないし歯学部にいっておくか、とか子供にとりあえず歯学部にいかせておくかという考えの方は減ってきているはずです。

厳しい現状だけど、それでも歯科医師になって患者さんに貢献したいんだ!という理想を持つ人間の割合が相対的に増えます。

そういう方のモラルは基本的に高く保たれる傾向が大きく、勉強を積極的に継続する傾向も強いです。

つまり、新たに歯科医師になる数自体は減っても質は高まって行くことが予想されます。

ただ、全体の数が減ればその中で特別際立った才能や、技術を持つ人の数も減ってきます。

それはスポーツなどをみていてもわかることですが、ある物事に関わる人数が多ければ多いほど、スーパースターと呼ばれる選手の数も増え、パフォーマンスも向上していきます。

しかし、歯科医師という職業の特性上、スーパースターが1人いることよりも患者さんに迷惑を平気でかけられる歯科医師が10人減った方がよほど社会のためになるのではないかと考えます。

以上のことから私は歯科医師国家試験の難易度を上げて合格者を減らす、という政策には基本的には賛成です。

しかし、学力だけが重視されてしまう方式は良くないため、今後は、歯科医師国家試験に実技試験を復活させるべきであるとは思います。(もちろんそうなるとまた試験の開催にお金がかかるため、そうかんたんにはいかないと思いますが)

もしくは入学試験において、面接の比重を増やす+簡単な実技試験の内容を課すなど、しても良いかもしれません。

しかし最も注意すべきは、やりすぎ、です。

過剰な歯科医師削減の結果、歯科医師の数が減りすぎて結局患者さんが困る結果になってしまえば、歯科医師不足と叫ばれていた昔の状況に逆戻りです。

あくまで適切に継続されることを切に願います。

まとめ

アメリカでは歯科医師は全職業の中でなりたい職業ランキング5位までの中に必ず含まれています。

日本では200位以内にも入りません。

人の健康、審美、ひいては人生を扱う職業がこんなにも人気のない現状はやはり寂しく思います。

そのためには今回の歯科医師国家試験合格者の方々、新歯科医師を含めた歯科医師の一人ひとりが今一度自覚を持って日々の診療、生活に向き合っていくべきなのではないでしょうか。

受験生の皆様本当にお疲れさまでした。

ABOUT ME
林剛永
2015年に大阪大学歯学部卒業、同大学での研修後、現在は勤務医として日々診療に全力投球中。大学卒業後、各歯科医院によって方針や治療の幅や質にとても大きな違いがあることに驚き、患者さんが自分に最もあった治療を受けられるようになる一助になればと願い、当サイトを立ち上げました。
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